和裁の知識
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付け比翼ついて)

 留袖や喪服といった礼服は、元々は着物の下に、白い着物をもう一枚着込めるものでした。それは「下着」と呼ばれました。今の感覚なら下着と聞けば長襦袢を連想しますが、ここで言う「下着」は上着である着物に対しての「下着」という意味になります。揃えて「2枚重ね」とも言い、その下にさらに白の長襦袢も着ていました。
 
 喪服に下着を重ねる風習は、不幸が重なると言われて今は無<なりましたが、
留袖の下着は【付け比翼】という簡略した姿に変わって受け継がれています。
 
 付け比翼は、下着の裾・衿・袖などを部分的に作ったもので、仕立て上がった着物の裏にくけ付けて、一枚の着物でありながら二枚着ているように見せるためのものです。通常はただ「比翼」と呼んでいます。

付け比翼の各パーツを着物の裏側にくけ付けます

付け比翼のパーツ
比翼を付けた状態
「付け比翼」も部分的であれ、上着(留袖)の仕様が袷せですから、下着である比翼も袷せにに作ります。

比翼は表も裏も同じ布(普通は裏地用の羽二重)なので、表と裏の違いなど意識して見ることはあまりないと思いますが、比翼付きの留袖を広げて裏から見たとき、まず目に入る面が比翼の裏になります。留袖の裏地(ハ掛や衿裏)に接している面が表です。

袖口と裾は表から「ふき」が見えるようにし、衿の表には共布で掛衿をします。
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